調査日時:2015年6月12日(金)~6月17日(水)
ビジネス
パワハラ・セクハラ・マタハラ問題や、残業時間が月200時間を超えるなど、「ブラック企業」というキーワードがニュースでよく取り上げられています。
上場企業など大手企業は話題に挙がることが多く、警告があったり責任を問われたりするのですが、日本の約99%を占める中小企業なども含め、働く環境の実態はどのようなものなのでしょうか。
また、職場環境と働く人々の職場満足度はどのように関連しているのでしょうか。
その実態について、フルタイムで働く20~50代のバルクルーメンバーに伺ってみました。
※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。
調査概要
調査方法 |
Webアンケート方式 |
調査対象 |
20代~50代男女(有職者(フルタイム勤務))(バルクルーメンバー) |
アンケート参加者数 |
合計1,216人
男性614人(年代別内訳: 20代/130、30代/162、40代/161、50代/161)
女性602人(年代別内訳: 20代/135、30代/153、40代/154、50代/160) |
調査日時 |
2015年6月12日(金)~6月17日(水) |
調査機関 |
株式会社バルク |

アンケート結果トピックス
- 『残業代支給率』と『有給休暇取得率』はやっぱり上場企業の方が高い?
残業代支給率が「9~10割(ほとんど)」と回答したのが上場企業では67.6%に対し、非上場企業では56.1%、有給休暇取得率が「9~10割(ほとんど)」と回答したのが上場企業では33.9%に対し、非上場企業では24.7%と、いずれも10ポイント前後上場企業の方が高い割合となりました。
- 職場満足度は、『残業時間』の短さよりも、『有給休暇取得率』の高さが影響あり!?
職場満足度を残業時間の長さ別(「20時間未満」/「20~60時間未満」/「60時間以上」)に比較したところ、残業時間が「20時間未満」の満足度は53.2点(100点満点換算)、「60時間以上」は48.7点。
一方、有給休暇取得率の高さ別(「7割以上」/「5~6割程度」/「1~4割程度」/「それ未満」)の比較では、取得率「7割以上」が58.4点、「それ未満」は42.6点。
残業時間の長さより、有給休暇取得率の割合の方が、職場満足度により差が見られました。
- 職場で「パワハラがある」約3割が回答!
職場でのハラスメント問題についてうかがったところ、なんと31.9%の人が「パワハラがある」と回答しました。また「セクハラ」では15.7%、「マタハラ」では8.5%の人が職場で<問題がある>と回答しました。
職場環境の実態について(残業や有給休暇)
働く会社での月平均の残業時間について伺ったところ、約6割の人が「20時間未満」と回答しました。
一方、1割以上の人が「60時間以上」残業をしていると回答しており、労働基準(45時間/月)を大幅に上回って働いている人々の実態が窺えました。
上場/非上場企業別に比較してみたところ、大きな差は見られませんでしたが、業種別では『運輸業』の平均時間が32時間を超え、他業種に比べ比較的多い結果となりました。
設問1:あなたの月平均の残業時間をお知らせください。
【残業時間 月平均(1) -全体-】

月平均の残業時間で最も多かったのが、「20時間未満」61.3%で、半数以上の割合を占めました。
次いで、「20~40時間未満」が17.4%、「40~60時間未満」が10.6%と、残業時間が長くなるにつれ割合は減少する結果となりました。
「60~80時間未満」、「80~120時間未満」、「120時間以上」ではいずれも割合が1割未満と少なくなりますが、全体の1割以上の人が60時間を超える残業を行っていることが窺えます。
【残業時間 月平均(2) -上場/非上場企業別 および 業種別-】

月平均の残業時間を、上場/非上場企業別に比較したところ、『上場』企業が27.9時間で、『非上場』企業(25.6時間)より2.3時間多い結果となりました。
業種別の比較では、『運輸業』が32時間を超え、他業種より比較的多い結果となりました。また、一番平均時間が少ないのは『情報通信業』(22.7時間)で、『運輸業』と比較すると、10時間の差が見られました。
(※)平均時間
平均時間は、月平均の残業時間を下記の数字に置き換え、上場/非上場別、業種別回答者数を掛けたものを全体の数で割ることにより算出しています。
20時間未満・・・10時間 20~40時間未満・・・30時間 40~60時間未満・・・50時間 60~80時間未満・・・70時間 80時間以上・・・100時間
設問2:あなたの勤務先では、「残業代の支給率」、「有給休暇の消化率」はどれくらいの割合にあてはまりますか。
【残業代支給率 -上場/非上場企業別 および 業種別-】

残業代支給率について、上場/非上場企業別に見ると、『上場』企業では、「9~10割(ほとんど)」支給される人が67.6%に対し、『非上場』企業では56.1%と10ポイント以上低い割合となりました。
また、『上場』企業では残業代支給率が「それ(1割)未満」と回答した人が6.3%に対し、『非上場』企業では20.2%と3倍以上高い割合となりました。
業種別に比較したところ、『運輸業』、『情報通信業』で「9~10割(ほとんど)」支給される人が7割を超え、高い結果となりました。
『商業』、『サービス関連』では「それ未満」と回答した人は2割台と、他業種に比べ残業代が支給されない割合が倍以上多い結果となりました。
(※)n数は残業代支給率の「その他(年俸制である・わからないなど)」回答者を除く。
【有給休暇取得率 -上場/非上場企業別 および 業種別-】

有給休暇取得率について、上場/非上場企業別に見ると、『上場』企業では「9~10割(ほとんど)」支給される人が33.9%に対し、『非上場』企業では24.7%と9.2ポイント低い結果となりました。
また、『上場』企業では有給休暇取得率が「それ(1割)未満」と回答した人が10.1%に対し、『非上場』企業では23.0%と、倍以上高い割合となりました。
業種別に比較したところ、『金融関連』で「9~10割(ほとんど)」支給される人が44.4%と、最も高い割合となりました。
一方、有給休暇の取得率が「それ(1割)未満」の割合が、『運輸業』、『金融関連』、『情報通信業』で1割程度なのに対し、『サービス関連』では37.5%と極めて高い割合となり、他の業種に比べ、あまり有給休暇が取得できていない状況が窺えました。
(※)n数は有給休暇取得率の「その他(年俸制である・わからないなど)」回答者を除く。
働く人々の職場満足度
お仕事に関する様々な項目について5段階評価で尋ね、職場の満足度を測りました。
それを、残業時間別、残業代支給率別、有給休暇取得率別に分類して見てみたところ、残業時間の長さによる満足度の差はほとんど見られませんでした。
残業代支給率別、有給休暇取得率別では割合が高いほど満足度も高くなる傾向が見られました。
特に『勤務時間』、『給与水準』、『ワークライフバランス』で満足度に差がでることが分かりました。
設問3:あなたの現在のお仕事に関して、以下の項目をそれぞれ5段階で評価してください。
【職場満足度(1) -残業時間別-】

職場の満足度を残業時間別に比較すると、『勤務時間』が【20時間以上】(「20~60時間未満」・「60時間以上」)と「20時間未満」で満足度に差がありますが、その他の項目では大きな差は見られませんでした。
(※)満足度の平均得点
職場の満足度の平均得点の算出は、満足度を下記の得点に置き換え、残業時間別回答者数を掛けたものを全体の数で割ることにより算出しています。
非常に満足・・・100点 満足・・・75点 普通・・・50点 不満・・・25点 非常に不満・・・0点
【職場満足度(2) -残業代支給率別-】

職場の満足度を残業代支給率で比較すると「7割以上」と「それ(1割)未満」では、『勤務時間』『給与水準』『ワークライフバランス』において15点前後の差が見られます。
「総合的な満足度」を見ると、残業代支給率の割合に比例して満足度が高いことが窺えます。
(※)n数は残業代支給率の「その他(年俸制である・わからないなど)」回答者を除く。
(※)満足度の平均得点
職場の満足度の平均得点の算出は、満足度を下記の得点に置き換え、残業代支給率別回答者数を掛けたものを全体の数で割ることにより算出しています。
非常に満足・・・100点 満足・・・75点 普通・・・50点 不満・・・25点 非常に不満・・・0点
【職場満足度(3) -有給休暇取得率別-】

職場の満足度を有給休暇取得率で比較すると「7割以上」と「それ(1割)未満」では、『勤務時間』『ワークライフバランス』『総合的な満足度』において、20点前後の差がありました。
「総合的な満足度」を見ると、有給休暇取得率の割合に比例して満足度が高いことが窺えます。
(※)n数は有給休暇取得率の「その他(年俸制である・わからないなど)」回答者を除く。
(※)満足度の平均得点
職場の満足度の平均得点の算出は、満足度を下記の得点に置き換え、有給休暇取得率別回答者数を掛けたものを全体の数で割ることにより算出しています。
非常に満足・・・100点 満足・・・75点 普通・・・50点 不満・・・25点 非常に不満・・・0点
職場ハラスメントと育児休暇制度
職場問題として「パワハラ」、「セクハラ」、「マタハラ」が最近よく話題となっていますが、実際どれくらいの職場でハラスメント問題があるのでしょうか。
また、働く女性が増える中、社内の育児休暇制度はどの程度活用されているのでしょうか。
設問5:あなたの勤務先において、あなたのまわりで、今までにパワハラ・セクハラ・マタハラに該当すると思う行為はありますか。
【職場ハラスメントの有無 全体グラフ】

上記の表の定義のもと、『パワハラ(パワー・ハラスメント)』、『セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)』、『マタハラ(マタニティー・ハラスメント)』それぞれについて、職場であるかどうか、状況を尋ねました。
職場で『パワハラ』が「ある」(「頻繁にある」+「よくある」+「時々ある」)と回答した人は全体の約3割と比較的高い割合となりました。
また、『セクハラ』が「ある」は15.7%、『マタハラ』が「ある」は8.5%という結果なりました。
設問4:あなたの勤務先において、あなたのまわりの女性の育児休暇の取得のしやすさと、活用の実態についてお選びください。
【育児休暇の取得のしやすさと活用度 -全体 および 上場/非上場企業別-】

職場での育児休暇の活用状況については、全体の半数以上の人が【活用されている】(「取得しやすいと感じるし、実際活用されている」+「取得はし難いと感じるが、実際活用されている」)と回答しました(59.9%)。
取得のしやすさを見たところ、全体の4割弱(38.1%)の人が【取得し難い】(「取得はし難いと感じるが、実際活用されている」+「取得はし難いと感じるし、実際あまり活用されていない」)と感じており、育児休暇の取得の難しさを窺うことができます。
上場/非上場企業別に見ると、『上場』企業で【活用されている】と回答したのが68.4%に対し、『非上場企業』では56.7%と10ポイント以上の差があることが分かりました。
(※)n数は「分からない」回答者を除く。
ユニークな会社制度/文化
会社によって、さまざまな制度や文化が窺えました。誕生日を祝ってくれるありがたい会社もあれば、ちょっと風変わりな文化を持ち、嬉しくなかったりすることも!いずれも社員が働きやすいよう試行錯誤工夫をしている様子が窺えます。
しかし、中には「リストラがさかん」なんていう恐ろしい会社も・・・!
会社側も働く社員もお互いが協力し合いながら歩んでいけると良いですね♪
設問6: あなたの勤務先のユニークな制度や独特の文化など、ご自由にご記入ください。
【 ユーニークな会社制度や文化 】
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- 年末に、命をかけるくらいの駅伝大会があります。(男性 30代)
- 朝握手する。(女性 20代)
- 残業防止のため18時05分になるとネットワークが切断されるようになっているが残業する人はパソコンの時間やタイムゾーンをいじっているのであまり効果がない。(30代 女性)
- クールビズのルールは厳しいが、県が認定したゆるキャラのついたものであればTシャツでも可。(女性 50代)
- フリーエージェント制度。(男性 30代)
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【 ユーニークな支給物♪ 】
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- ミスが少いとお菓子がもらえる。(女性 30代)
- 誕生日にバースデーケーキのプレゼント。(女性 50代)
- 朝、青汁が配られること。(男性 30代)
- 改善提案を提出すると1件につき500円支給される。(20代 男性)
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【 ユニークな休暇制度 】
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- 二日酔い有給休暇あり。(男性 50代)
- 有給消化率をライバル企業と争っている。その前に売上利益だろうと思うが休みがとりやすくなっているのでいいかと思う。 (男性 40代)
- 雨の日は休み。(男性 20代)
- 有給休暇を1時間単位で取得出来る。遅刻した場合、1時間有給休暇を取得したことにすると、遅刻にならずに済む。(女性 40代)
- 有給の年度を越えた前借ができる。(女性 40代)
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【 ありがたい育児制度! 】
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- 職場内保育所があり、子供と一緒に出勤できる。(女性 30代)
- 男性の育児休暇取得。(女性 40代)
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【 やめてほしい!こんな会社も・・・ 】
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- リストラがさかん。(男性 20代)
- 管理職は労務管理のみ。(男性 50代)
- 社長夫妻が人事を決める。(男性 50代)
- 有給は、ない。(女性 20代)
- 社内結婚した場合、どちらかが会社を辞める必要がある。 (男性 50代)
- 育児休暇を取ると、子供が4歳から、夜勤をしないといけない。(女性 30代)
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今回の調査では、意外と知らない周囲の職場環境の実態について窺うことができました。
特に職場満足度では、「残業時間の長さ」よりも「会社の待遇の良さ」が満足度に影響を与えていることが分かりました。長時間働いたとしても、しっかり会社がフォローすれば、働く側も気持ちよく頑張れるということでしょうか。
また、非上場企業は上場企業よりも会社の待遇面で劣っているという結果が窺えました。今後、非上場企業も更なる発展をめざして、職場環境を改善していく必要がありそうですね。
ハラスメント問題では、「パワハラがある」と回答した人が約3割と、比較的多い割合となりました。頻繁にニュースに取り上げられ問題になっているのですから、早急に改善されたいものです。