書籍に関するリサーチ結果 | バルクのマーケティングリサーチ・市場調査

Vol.52 書籍に関する調査

最近、よく雑誌のコーナーで「今月号の付録は○○のバッグ」など『付録つきの雑誌』を多く見かけるようになりました。 今回は、おしゃれなファッション小物から調理器具、中には美顔器や時計、実験用の簡易顕微鏡がついたものまで多種多様な付録を打ち出して販売されている『ムック本』と呼ばれるジャンルの書籍を調査してみました。 付録より中身を重視するという回答や、付録が楽しみで雑誌を買っているという回答もありました。 また、購入した雑誌の付録の内容や買わなかったと回答した方にも理由も聴取してみました。

※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。

調査概要

調査方法 Webアンケート方式
調査対象 10代~60代男女(バルクルーメンバー)
アンケート参加者数 合計1,259人 男性630人(年代別内訳: 10代/105、20代/105、30代/105、40代/105、50代/105、60代以上/105) 女性629人(年代別内訳: 10代/105、20代/105、30代/105、40代/104、50代/105、60代以上/105)
調査日時 2011年9月9日(金)~9月14日(水)
調査機関 株式会社バルク

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アンケート結果トピックス

    • 雑誌自体の購入種類は「コミック誌」が総合でトップでした。
    • 週刊誌や月刊誌など販売サイクルはもちろん、内容も全く違うのに群を抜いていました。 ほかの雑誌で人気の傾向は、男性では『サブカルチャー』に特化したもの、女性は料理本やファッション誌といった『自分磨き』に特化したものが目立ちました。
    • 『付録がなくても、またその雑誌を買うのか』という問いに対して・・・
    • 「買いたい~やや買いたい」と回答した方が10代の男女、20代男性の過半数でした。 『ふろく買い』をしている方が女性には多いようです。 最近は付録も実用性を兼ねたものが多く、なかなかおもしろいものが多くあるので付録によって毎月買う雑誌も違うのでしょうか。
    • 性別による魅力のあるふろくは・・・
    • 女性…トートバック 男性…ゲームの体験版やDVD・CDなどのメディア でした。

書籍の購入状況について

『付録つきの雑誌を購入したことがある』と回答した方が全回答者の半数以上でした。 その中でも直近に購入した雑誌の付録で、女性は普段使いできる実用性に富んだもの(ファッション小物など)を、男性は趣味に特化した実用性のあるもの(DVDやCD-ROMなど)を選んで購入した、など男女別で大きく違いが見受けられました。 以下は上位10項目をグラフ化したものです。

設問1:あなたは今までにどんな雑誌を購入したことがありますか。また、購入した雑誌の中に付録つきのものはありましたか。付録つき雑誌で一番直近に購入したものはありますか。

【直近の付録つき雑誌購入状況 性別グラフ】

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※ブランドムック:食品やバッグなどいろいろなブランドに特化した付録のある雑誌


設問2:あなたが直近に購入した付録つき雑誌の付録の内容をお知らせください。

【直近に購入した付録つき雑誌の付録内容 性・年代別グラフ】

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多いのは定番の『バッグ』で、女性に多く購入する傾向が出ています。 次に人気があった『DVDやCD、体験版のゲームソフトなどのメディア』の付録は、男性が多く購入していました。 女性と男性での「付録」の利用目的や購入目的に大きく違いがあるようです。

設問3:その付録をどんな場面で使っていますか。具体的にお知らせください。

【直近に購入した付録つき雑誌の付録内容 職業別グラフ】

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職業別でもグラフ化しました。 「パート・アルバイト」の方、「専業主婦」の方、「学生」の方、「社会人(事務系)」の方は『バッグ』がトップでした。 使用しているシーンも聴取していますが、たいていが「ちょっとした買い物の時」や「お弁当を入れるのに」と普段の生活の中で使っているという回答でした。 お財布に優しい価格なのに、しっかりとして使い勝手がいいものが多いからか、「パート・アルバイト」の方、「専業主婦」の方、「学生」の方に人気があるようです。 「社会人(事務系)」の方は「ランチに行くのに」など仕事中にちょっと使う方がいるようです。 一方、『DVDやCD、体験版のゲームソフトなどのメディア』と回答したのは「社会人(営業・販売)」や「社会人(技術系)」の会社員の方などお勤めの方々。 誌面と連動して視聴できるのはやはり魅力的なようで、仕事の時に使えるスキルアップツールとしてCD-ROMの付いた雑誌を購入している方や、ゲームの攻略用データやオリジナルムービーコンテンツなど趣味に特化したメディア付きの雑誌を買っている方がいました。

付録つき雑誌の購入理由について

購入理由は『付録が魅力的だった』と回答した方が一番多く、付録つき雑誌の購入者全体の41.9%でした。 購入場所にも男女で差がありました。 以前、『書籍の8割は衝動買い』という記事を目にしたことがあります。仮に、今回の結果に当てはめて考えてみると、衝動買いした場所=立ち寄る場所の男女の生活圏の違いが、現れている結果となっていました。 継続購入意向については「購入したい~やや購入したい」と回答した方が付録つき雑誌の購入者全体のおよそ40%でした。

設問4:その付録つきの雑誌を購入したのはなぜですか。

【付録つき雑誌購入理由 性別グラフ】

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付録つき雑誌の購入理由として、購入した男性のうち31.9%、女性においては50.6%の方が『付録が魅力的だったから』と回答し、トップでした。 次いで『雑誌の内容に惹かれて』と回答した方も、男性で33.0%、女性で40.2%と多くいらっしゃいました。 雑誌の記事ではなく付録で購入しようと考える方も少なからずいることが見て取れました。

設問5:付録つき雑誌を購入した場所をお知らせください。

【付録つき雑誌購入場所 性別グラフ】

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男性女性ともに『独立した本屋(テナントに入っていない独立店舗の本屋)』で購入される方がトップでした。 最近の付録つきの雑誌は種類が豊富で、書店でなければ見比べられないことや、付録がついている雑誌の立ち読み用サンプルと付録が別々に置いてある書店も増えてきている、ということが、『独立した本屋』での購入が多くなっている原因の一つとして考えてもよさそうです。 男女別に見てみると、男性は『コンビニ』での購入が多く21.5%、女性は『駅ビルなどに入っている本屋』26.3%という回答が多かったです。

設問6:その付録つきの雑誌を、たとえ付録がなくてもまた購入したいと思いますか。

【付録つき雑誌購入意向 男性全体グラフ】

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【付録つき雑誌購入意向 女性全体グラフ】

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付録つき雑誌の継続購入意向を男女別に見てみると、男女間での付録に対する意識の違いがはっきり出る形となりました。 「付録がなくても継続購入するか」という設問に対して、男性はおよそ半分の47.8%の方が購入したいと考えているようです。 一方、女性は若干少ない37.8%でした。 女性において、付録で一時的に販売部数は上がるけれど継続には至りにくいことが窺えます。

雑誌の付録について

ここでの設問は仮説を立てて検証してみました。『付録に魅力がないから買わないのか。』 実際、買わない方に聞いてみたところ、『付録つきの雑誌を買ったことがない』と回答した方のうち17.5%の方が『付録に魅力を感じないから』と回答しています。 ではどんなものがついていたら購買意欲を掻き立てられて、付録のついた雑誌を購入するのでしょうか。 聞いてみたところ以下のような結果が出ました。

設問7:どんな付録に魅力を感じますか。また魅力を感じるものの中でどんな付録に最も魅力を感じますか。

【魅力を感じる付録について 全体グラフ】

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【魅力を感じる付録について 性別グラフ】

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【最も魅力のある付録について 性別グラフ】

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※複数回答の上位10項と同項目について挙げています。


【魅力のある(最も魅力のある)付録について 性別表(上位10項)】

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設問8:あなたはなぜ付録つきの雑誌を購入しなかったのですか。理由をお知らせください。

魅力がある付録と最も魅力のある付録で比較しやすいようにグラフを作成しました。 男女間で魅力を感じる付録、最も魅力を感じる付録に大きく差があることが見て取れました。 また、それぞれ回答者全体のトップ10を表にして、その中で男女別に見て比較的上位のあったものをそれぞれ色分けしてみました。 男女間で大きく2種類にわかれているのがわかります。 女性に於いては『ファッションに関連したもの(DVDでも美容系のフィットネスDVDなどが欲しいものとして挙がっています)』に、男性に於いては『趣味に使える実用的なもの』にぞれぞれ魅力を感じているようです。 ですが、両者共通で『一般的な店舗で購入するには高いと感じているもの』に人気があるように思えます。 トートバッグやデジタル機器でも、しっかりして且つきちんとブランドロゴまで入ったものがよく付録についてきます。 手の届く額でブランド商品が手に入ると思うと、やはり魅力を感じるのでしょうか。

付録について(自由回答)

男性と女性で魅力のある付録の傾向にばらつきがあったので、それぞれで掲載してみました。 男性は比較的『趣味に関連した物』の付録を、女性は『ファッションの一部になり得る物』の付録に魅力を感じていたようです。 バッグはやや飽きてきている方が多いようでした。 その付録限定でブランドや芸能人とのコラボしたもの、科学ふろくで子供と一緒に作れそうなものなど人気がありました。

設問9:どんな付録に魅力を感じますか。具体的にお答えください。

【 男性が欲しい付録 】
  • ゲームが好きなのでゲーム内で使えるアイテムのダウンロードコードなどが欲しい(39歳、男性)
  • ソーラーランタン(46歳、男性)
  • 実用性のあるものでブランドとのコラボもの(26歳、男性)
  • 非売品のアニメソング(19歳、男性)
  • 子供が喜ぶ付録(45歳、男性)
  • 震災関係の非常時に有効に使える小物。(61歳、男性)
  • 金券や割引券(33歳、男性)
  • 実験キットは子供時代を思い出して楽しいし、大人でも楽しめる内容。(52歳、男性)

【 女性が欲しい付録 】
  • コスメのサンプル(19歳、女性)
  • キッチングッズ ちょっとしたグッズがもらえると嬉しい(28歳、女性)
  • 化学系の薬品実験セット(学研の科学の付録のような)。生物系では透明標本を確実に作れるキット。安価(1000円くらい)で楽器が作れるキット。(44歳、女性)
  • ペンダントトップとか。(30歳、女性)
  • 化粧品やシャンプーなどのサンプル(44歳、女性)
  • 流行に左右されない食事のマナーや着物の着付け方・裁縫の仕方など、今更聞けないが知っておくと安心万全な知識を解説している実演DVD(54歳、女性)
  • 子どもが喜ぶキャラクターやオモチャ(34歳、女性)

男性は内容に伴う付録つきの雑誌を買う傾向にあるのに対して、女性は付録と雑誌の内容を全く別物と考えて購入しているようでした。 近年、インターネットの普及により書籍自体の発行部数が減っています。 その中で付録の活躍による雑誌の飛躍的な部数の増加は、目を見張るものがあります。 今回の調査を通して、ファッションアイテムやデジタルグッズなどの『付録』も魅力的ですが、お子様との共同作業で作ったり遊んだりできる『ふろく』も興味深く思いました。 「子供と作れる」とか「孫のために」と付録つき雑誌を購入したという回答もあり、自分のための『付録』ではなくて誰かと共有できる『ふろく』にコミュニケーションツールの一つとしての利用法もあることを知ることが出来て非常に面白かったです。