夏の過ごし方に関するリサーチ結果 | バルクのマーケティングリサーチ・市場調査

Vol.50 夏の過ごし方に関する調査

東日本大震災と原発事故の影響で経済産業省が打ち出した『節電アクション』。 3月に停電が行われた東日本だけにとどまらず、日本中が一つとなって取り組み始めています。 今年の夏も厳しい暑さが懸念されていますが節電しながら如何に乗り切るのか。 猛暑対策や節電対策に夏の旅行先も加えて調査いたしました。

※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。

調査概要

調査方法 Webアンケート方式
調査対象 10代~60代男女(バルクルーメンバー)
アンケート参加者数 合計1,259人 男性627人(年代別内訳: 10代/106、20代/106、30代/106、40代/103、50代/100、60代/106) 女性632人(年代別内訳: 10代/106、20代/107、30代/106、40代/106、50代/106、60代/101)
調査日時 2011年07月01日(金)~07月05日(火)
調査機関 株式会社バルク

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アンケート結果トピックス

    • 今年の夏利用する公共施設で、一番利用意向があったのは、群を抜いて「図書館」でした。
    • (近所の公共の避暑施設の利用(図書館など)をご利用とお答えの方)どちらの公共の避暑施設をご利用になるかお答えください。 【図書館】91.2%、【公園】31.9%、【美術館】23.1%、 【博物館】19.9%、【自治体運営のプール】19.5%(以上、上位5位)
    • 人気の節電対策は「エアコンや冷蔵庫の設定温度の変更」や「こまめに電源(プラグ)オフによる待機電力の削減」と新たなグッズの買い増しよりも、老若男女問わず簡単に行える節電対策が多く挙がっていました。
    • 消費電力が多い猛暑対策よりも節電と掛け合わせたエコな猛暑対策が上位を占める結果に。
    • 扇風機(サーキュレーター)やグリーンカーテンなど、節電しながら暑さへの対策に講じるといった内容が大半。 中には夏は暑いものだからと暑さに身を任せていたり「気合い」といったユニークな回答も。

今年の夏と去年の夏の過ごし方について

昨年と同じように過ごす予定と回答しているのはおよそ6割でした(去年と今年の外出先、外出予定の比較をした結果より)。 外出先については、関東から東よりも西への旅行者が少し高く出ていました。中でも外出先で人気が高かったのは都心エリア、次いで大阪や京都・奈良と人気観光地や名古屋・三河湾・美濃・飛騨の中京エリアも上位でした。 やはり北日本、特に被災地のあるエリアへの来訪者が少なく、震災の影響が顕著に現れました。自粛ムードが全体的に感じられる結果となっていました。

設問1:あなたは昨年の夏、どのように過ごしましたか。また、今年(2011年)の夏はどのように過ごす予定ですか。

【外出予定 昨年と今年(2011年)の比較グラフ】

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設問2:日帰りレジャー・国内旅行へ行く方にお伺いします。あなたは今年どちらにお出かけになりましたか。またはお出かけになる予定ですか。

【今夏(2011年)の外出先 全体グラフ】

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日帰りレジャー・国内旅行へ行く、と回答した方(n=649)に、外出先予定について聞いたところ、「北海道」や「信州エリア」といった避暑地で人気の地域は、トップ10にランクインしていました。 上位10位の大半がそれぞれの地方の都市部に集中しており、国内旅行よりは日帰りで簡単に出かける方が多いように感じました。 国内旅行先は、やはり被災地である東北など東日本の太平洋沿岸エリア(「東北太平洋側(岩手・宮城・福島)」)が人気を極端に落としていました。 意外にも「沖縄」の人気が低く、全体の3.5%しか旅行しないとの回答でした。
設問3:(近所の公共の避暑施設の利用(図書館など)をご利用とお答えの方)どちらの公共の避暑施設をご利用になるかお答えください。

【今夏(2011年)の公共施設利用意向 全体グラフ】

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近所の公共の避暑施設の利用(図書館など)をご利用と回答した方(n=251)に、利用される公共施設を聞いたところ、「図書館」がダントツのトップの回答数で、今夏は9割を超える方々が利用すると回答しています。 施設数としても多く、また、今年は足立区も『避暑施設』として利用を呼び掛けているだけあり、利用者が増えているのではと感じました。

夏の暑さ対策・節電対策について

去年と今年の暑さへの対策をお伺いして昨年と比較すると、今年は【節電しながらの暑さ対策】がキーワードのようです。 今年は震災により原発の電力を頼れず、さらに東日本にお住まいの方々は停電するかもしれないという危機感からか昨年までと若干違う暑さ対策が人気を博していたようです。 節電対策については、経済産業省の施策「節電アクション」で取り上げられている対策を質問に織り込んでお聞きしてみました。どんな対策の人気があったのでしょうか。

設問4:昨年の夏、どのような暑さへの対策を行ってましたか。また、今年はどのような暑さへの対策を行っていますか。

【猛暑対策 地域別時系列グラフ】

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熱中症対策で「冷たいものを飲む」方が総合でトップになりました(いずれも6割超)。 東日本地域では、エアコンなど電力消費の激しい家電製品を使っての猛暑対策は昨年よりも利用する割合が下がっているものの、あまり変動がありませんでした。 興味深かったのが東日本での「日よけ(すだれ、よしず、緑のカーテンなど)の設置」。 昨年よりも利用者が大きく増えていました。 西日本はエアコンの利用者の割合に変動があまりありませんでした。 日よけを作ったり、髪型を変えて暑さを凌ぐなど、古き良きスタイルが流行の傾向にあるように見えます。 全国的に、電力消費の低いもの、又は全くないものを猛暑対策として併用して過ごしている方が多く、熱中症に配慮しつつ節電を行っているのを見て取れました。

設問5:昨年の夏、どのような節電対策を行いましたか。また、今年はどのような節電対策を行っていますか。

【節電対策 地域別時系列グラフ】

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全体的に見て停電経験者が多い東日本は、やはり節電対策の実施が昨年に比べて上昇しているのが見て取れます。 特に「消費電力ピーク時間帯を除いた時間帯での電力利用」は13ポイント越えの利用率の増加が見られました。 停電が行われた時間帯=電力消費が高い時間帯だったからか、やはりその時間帯の電力消費量に気を配る方が多いようです。「消耗品(LED電球やスイッチ式の節電タップなど)を節電商品への買い替え」でも10ポイントを越える利用率の増加がありました。 長寿命で省エネなLED電球や手軽に待機電力を節電できる節電タップは、今では定番の「節電対策グッズ」になっているようです。

夏の暑さ対策・節電対策への意識変化について

猛暑、節電に対しての意向と継続の意向をそれぞれ聞いてみました。 猛暑も節電も今年から行った方よりも昨年から行っている方が多いのか、意識の変化よりも継続していきたいという回答が多く、日ごろからの意識の高さが窺えました。

設問6:あなたはこの夏の節電対策(エコ)や猛暑対策に際して、昨年と比べてお気持ちに変化はございましたか。

【夏の暑さ対策への気持ちの変化 性年代別グラフ】

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【夏の節電対策への気持ちの変化 性年代別グラフ】

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性別ごとに見ると「男性」よりも「女性」の方が猛暑に対して意識の変化が見られました。特に「女性の40代以上」は大きく意識変化があったようです。 暑さ、節電ともに「やや変わった」と回答した方が多く、今までよりも関心が高まっているようです。 ただ、「男性50代」は節電への気持ちの変化で、「やや変わった」と回答した方が45.0%で一番高いものの、「変わった」の割合が他の性年代より著しく低いのが特徴的でした。

設問7:あなたはこれからも節電対策(エコ)や猛暑対策を来年以降も継続して行っていきたいと思いますか。

【夏の猛暑対策の継続意向 性年代別グラフ】

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【夏の節電対策の継続意向 性年代別グラフ】

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猛暑対策、節電対策に対しての意識の変化(去年と今年の気持ちの変化)はそれほど大きくなかったのですが、猛暑対策、節電対策に対しての継続意向は、「継続したい」、「やや継続したい」というお気持ちの方がそれぞれ3割以上、合わせて7割以上いらっしゃいました。 猛暑対策、節電対策ともに「継続したい」と回答された方が一番高かったのが、女性60代の方々で、ほぼ半数の方がそれぞれの対策の継続に対して積極的でした。

【夏の各対策への気持ちの変化及び対策の継続意向 地域別グラフ】

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猛暑対策への気持ちの変化については西日本よりも東日本の方々に変化が見られました。 昨年よりも熱中症への対策は工夫をしなければならない状況です。 ただエアコンを消すだけといった対策から、少しずつ変化が出てきていたのもこの結果に反映されているようです。 電力不足、停電といった問題はもう東日本だけの問題ではないようです。 節電は今年の流行語になるかもしれませんね。

今年の猛暑・節電人気対策グッズについて(自由回答)

皆さん熱中症にかからないように、且つ節電しながら快適に過ごすべく、さまざまな工夫を凝らして猛暑や節電に挑んでいるようです。 節電に至っては節電することを楽しんでいる方もいらっしゃるようです。 商品を購入したり作ったり育てたり・・・認知度の高い対策やその対策に一工夫してより快適に「節電の夏」を楽しむ方など様々です。 以下にそんなご家庭の猛暑や節電の対策で使った商品ををまとめてみました。 皆さんの知らない対策グッズもあるかもしれません。

設問8:どのような猛暑対策商品を使っていらっしゃいますか。

設問9:どのような節電対策商品を使っていらっしゃいますか。

【使用している猛暑対策商品】
  • 家の南側の庭に日差しをさえぎるための植物を置く(55歳 女性)
  • エアコン、扇風機、スダレ(67歳 男性)
  • 新型節電クーラ(68歳 男性)
  • ジェルマット アイスノン枕(55歳 女性)
  • 冷えるシーツ、竹シーツ、アイスノン枕(68歳 女性)
  • すだれ、団扇、扇風機、冷却材(64歳 男性)
  • すだれの二重がけ(57歳 女性)
  • 水に浸すだけで冷たくなるタオル(21歳 男性)

【使用している節電対策商品】
  • 遮光カーテン(19歳 女性)
  • エコナビ搭載家電(18歳 男性)
  • LED電球。契約アンペアを下げる。(42歳 女性)
  • エアコンではなく主に扇風機を使用(19歳 女性)
  • ON/OFF切り替えができる電源タップ(28歳 男性)
  • アロマキャンドル(29歳 女性)
  • 太陽光発電システム(55歳 男性)

全体を通して猛暑に対する意識も節電に対する意識も非常に高く、熱中症や停電など不安の多い今だからこそ、一人ひとりが一丸となって対策に向かっているのが見て取れます。 節電をしないことで停電になるなどの実害が及んでいるからなのか、「いくら使ってもお金で買える電気」ではなく、「いくら出しても買えない電気」という電気の価値を見直す方が増えているように感じました。 暑さ対策も節電しながら行えるものを実践している方が昨年よりも高くなっており、節電しながらも快適な夏を過ごしている方、過ごそうとしている方が目立ちました。 個人的な主観ではありますが、小さいころ祖母や母が行っていた、すだれをつけたり朝顔を育てたり打ち水をしたりという「古き良き昭和な暮らし」に注目が集まっているように感じられました。 この夏を通して、皆さんも小さなころに両親がしてくれた涼しい夏の過ごし方を思い返してみてはいかがでしょうか。