暮らしやすさと住民意識に関するリサーチ結果 | バルクのマーケティングリサーチ・市場調査

Vol.47 暮らしやすさと住民意識に関する調査

昨年より単身高齢者の所在不明や孤独死などの問題がとりあげられ、地域の絆への関心が高まっています。 急激な高齢化の伸展は、多くの単身高齢者を生み、その人たちが暮らしやすい街づくりが求められています。しかし地域により高齢化の速度や住民意識は一定ではありません。 そこで高齢化のパターンにより、住民の意識に差があり、それが単身高齢者の暮らしやすさに影響しているのではないかという仮説を持ち、アンケート調査を行い検証を試みました。 今回は、技研商事インターナショナル株式会社にご協力いただき調査を実施しました。 弊社で実施したアンケートの結果をもとに、技研商事インターナショナル株式会社の  
MarketAnalyzer(マーケットアナライザー)を使用し、さらに深堀した分析を行いました。
※MarketAnalyzer(マーケットアナライザー) は、商圏分析や、店舗・顧客データ分析が可能な高度な分析機能を搭載したソフトウェア(GIS(地図情報システム))です。

※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。

調査概要

調査方法 Webアンケート方式
調査対象 20代~50代男女(バルクルーメンバー)  対象地区:東京都 A:足立区・葛飾区 B:台東区・墨田区・北区・荒川区 C:港区・品川区・大田区
アンケート参加者数 合計900人  男性446人(層別内訳:A:150、B:146、C:150) 女性554人(層別内訳:A:150、B:154、C:150)
調査日時 2010年12月24日(金)~12月31日(金)
調査機関 株式会社バルク

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アンケート結果トピックス

    • 東京23区の高齢化をパターン化
    • 『急激に高齢化』、『ゆるやかに高齢化』、『以前から高齢化』 の3つのセグメントに分類
    • 単身高齢者が暮らしやすいのは、やはり『以前から高齢化』のエリア
    • 代表的な地区として、台東区、墨田区 町内会・自治会の活動も活発で、住民同士の交流、助け合いも盛ん
    • 区以下の地域での深堀したエリア分析も実施
    • マーケットアナライザー(GIS(地図情報システム))を利用して、郵便番号別エリアのレベルまでさらに詳細な分析を実施

東京23区のセグメント分けについて

過去11年の65歳以上人口比率の推移をもとに、クラスター分析により東京23区を3つのセグメントに分けました。

【東京23区のセグメント分けと65歳以上人口の推移グラフ】

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東京23区の過去11年間の65歳以上人口比率の推移をもとに、クラスター分析を行いました。 すると、以下の3つのセグメントに分かれました。   A:急激に高齢化しているエリア(主に、足立区、葛飾区、江東区、世田谷区 など)   B:以前から高齢者の多いエリア(主に、台東区、墨田区、北区、荒川区、千代田区 など)   C:比較的高齢化の緩やかなエリア(主に、港区、品川区、大田区、中央区、目黒区 など) いずれのセグメントも、この11年間で、高齢化が進んでいることがわかりますが、 特にセグメントA(ピンクのグラフ)は、2倍以上に増えています。 以降の調査は、傾向の出方が比較的顕著で、人口の多い区をピックアップし、実施しました。 (A:足立区・葛飾区 B:台東区・墨田区・北区・荒川区 C:港区・品川区・大田区 の9区)

暮らしやすさについて

単身の高齢者の暮らしやすさについて調査しました。

設問:あなたがお住まいの場所は『単身の高齢者が暮らしやすい町である』と思いますか。

【単身の高齢者が暮らしやすい町か 地区別グラフ】

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現在の居住区が『単身の高齢者が暮らしやすい町である』かどうかという質問では、以前から高齢者の多いBエリアが「肯定」(そう思う+ややそう思う)が最も多く(43.6%)、緩やかに高齢化しているCエリアが「否定」(あまりそう思わない+そう思わない)が最も多いという結果になり(24.3%)、極端な差はないものの、ある程度エリアによって単身高齢者の暮らしやすさに差があることがわかりました。

【単身高齢者の暮らしやすさ 相関分析結果】

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また、「単身高齢者の暮らしやすさ」について、相関分析を行いました。 その結果、「単身高齢者の暮らしやすさ」は、「住民同士の交流、助け合い」や「町内会・自治会の活動」との相関が比較的高くなっていました。「町内会・自治会などの活動」が活発だと、「住民同士の交流、助け合い」も盛んであることも分かりました。 さらに、「住民同士の交流、助け合いへの参加意向」と「住民同士の交流、助け合い」の相関も比較的高くなっていました。

設問:あなたは『住民同士のふれあい・助け合いに参加したい』と思いますか。

【住民同士の交流、助け合いへの参加意向 居住年数別グラフ】

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一方、居住年数が15年未満の比較的新しい住民に、「住民同士の交流、助け合いへ参加したい」と思う傾向が強いこともわかりました。このような比較的新しい居住者のニーズをくみ上げ、新たな地域の絆を作り上げていくことで、単身高齢者でも住みやすい街づくりにつながっていくと考えられます。

アンケート結果とGISデータとの深堀分析

さらに、今回は、『マーケットアナライザー』を使用し、このアンケートの結果と、GISデータを融合した分析を試みました。 MarketAnalyzer(マーケットアナライザー) は、商圏分析や、店舗・顧客データ分析が可能な高度分析機能を搭載した、技研商事インターナショナル株式会社のソフトウェア(GIS(地図情報システム))商品です。 

【GISデータでの単身高齢者人口と暮らしやすさ GISデータ融合分析結果】

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今回のアンケートでは、回答者の居住地を郵便番号のレベルで把握しており、郵便番号のエリアごとに、単身高齢者の人口(GISデータ)と、暮らしやすさ(アンケートデータ)を組み合わせて地図上に表記したものが上記の図になります。 単身高齢者人口が多くかつ「単身高齢者が暮らしにくい」という回答数が多いエリアが濃い赤や青で示されています。

【GISデータでの単身高齢者人口と暮らしやすさ 地区別表】

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また、『マーケットアナライザー』の首都圏クラスターに、単身高齢者の暮らしやすさを当てはめてみたものが上の表になります。 ここからは、「首都圏12 近郊富裕層」が、単身高齢者が最も暮らしやすいクラスターであることがわかります。 このように、単にアンケートの結果だけでなく、GISデータと組み合わせることでさらに奥の深い分析が可能になります。