家庭の経済状況に関するリサーチ結果 | バルクのマーケティングリサーチ・市場調査

Vol.27 家庭の経済状況に関する調査

戦後最長の景気が、02年の2月から続き、景気拡大が起こり、その期間は69カ月ともそれ以上だったとも言われています。 一方アメリカに端を発するサブプライムローンが原因の世界同時不況も起こりました。しかし、実際に家庭レベルではどのように感じていたのでしょうか。家庭での資金や資産の扱い方などとともに調査を行いました。

※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。

調査概要

調査方法 Webアンケート方式
調査対象 10代~60代男女(バルクルーメンバー)
アンケート参加者数 合計1,281人 男性640人(年代別内訳: 10代/106、20代/105、30代/107、40代/108、50代/107、60代/107) 女性641人(年代別内訳: 10代/107、20代/106、30代/107、40代/106、50代/107、60代/108)
調査日時 2009年9月15日(火)~9月21日(月)
調査機関 株式会社バルク

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アンケート結果トピックス

    • 実際にあなたが感じている景気・景況感についてお答えください。
    • 【とても良いと思う】0.8%、【良いと思う】2.4%、【どちらともいえない】19.1%、 【悪いと思う】55.3%、【とても悪いと思う】22.4%
    • あなたは家計簿などで入出金を確認していますか。
    • 【確認している】47.2%、【確認していない】52.8%
    • あなたは預金や資金運用などはしていますか。
    • 【銀行預金】77.2%、【株式投資】24.0%、【保険】23.2%、 【自宅預金(タンス預金)】23.1%

景気の実感・景況感

戦後最長景気と呼ばれた02年からの景気。また100年に1度と言われるサブプライムローンによる不況。好況と不況は、報道などで耳にしますが、では実際の生活上の景況感はどのように感じているのでしょうか。

設問1:実際にあなたが感じている景気・景況感についてお答えください。

【景気について 全体グラフ】

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【景気について 性別グラフ】

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「とても良いと思う」から「とても悪いと思う」までの5段階評価での設問でしたが、悪いと思っている方が全体の4分の3を占めています。サブプライムローン問題の影響もあり、現状の景気に対して良くないと感じている方がとても多いようです。 年代別に見てみると、10代は比較的他の世代より景況感に関して悪いと思う方が少ないようです。また、50代の方は悪いと感じる方が9割近くになっています。30代以降と20代以前ではバブル景気を体感したことがあるかどうかで景況感に差があるのかもしれません。

【景気について 年代別グラフ】

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預金・資金運用

家計の収入は、生活の基礎ともいえるものです。欧米などに比べ堅いイメージがある日本ですが、景況感があまり良いとは思われていない現状、どの程度預金や運用を行っているのでしょうか。

設問2:あなたは預金や資金運用などはしていますか。

【資金の運用について 全体グラフ】

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【資金の運用について 性別グラフ】

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「銀行預金」している方は77.2%でした。給料の振込先が銀行になってる方も多いと思われるので、そのまま利用している方も多いのではないのでしょうか。「自宅預金(タンス預金)」をしている方は23.1%になっています。 投資については、「株式投資」が24.0%で最も選択肢中では多く、続き「保険」、「投資信託」になっています。ちなみに最近話題になるようになった、「FX(外国為替証拠金取引)」は4.4%の方が行っているようです。 特に預金・運用はしていない人は17.3%でした。若干男性の方が投資意欲が高くなっています。「株式投資」に関しては、男性は女性の2倍以上になっていました。

【資金の運用について 年代別グラフ】

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株式投資について、年代別にどの程度行っているかも調査しました。10代では0.9%、60代では45.1%の方が株式投資を行っていました。 10代は自らの収入が無いことがほとんどであったり、60代は退職後の資金の運用という面があると推測されます。40代でやや下がるものの、年代が上がるにつれて、運用している方が多くなっている傾向が分かります。

ネット銀行等の利用

現在は通信網が確立されてきており、パソコンや携帯電話での情報通信はますます生活に浸透してきています。その中でも、金融関係でのネットを介した取り引きはどの程度行われているのでしょう。

設問3:あなたは携帯電話・パソコンを利用して銀行・証券会社等金融機関と取引したことがありますか。

【パソコンでの銀行取引 性別グラフ】

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【携帯電話での銀行取引 性別グラフ】

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「パソコン」での取引は、約5割の方が行った経験があるようです。 一方、「携帯電話」での取引は13.7%となっており、ぐっと経験率が低くなっています。携帯電話での取引は、あまり積極的には行われている状態とはいえないようです。男女別で見ると、どちらも男性の方が取引を行っている人が多くなりました。

電子マネーの利用

電車やバスなどの交通機関や、大きなお店などでの支払いなどにおいて、電子マネーが使用できるところが増えてきました。 カードや携帯電話などに貯めて使用する形で、支払いの利便性やポイントシステムなどの利便性がありますが、現在どの程度使用されているのでしょうか。

設問4:あなたは電子マネーを利用していますか。

【電子マネーの利用先別利用状況 全体グラフ】

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「交通機関関係(電車・バスなど)」では、電子マネー良く利用している方が多いようです。まったく電子マネーを利用してないと答えた方が「交通機関関係」では43.1%、「お店関係(スーパー・コンビニなど)」では47.5%、「ネット決済関係(WebMoneyなど)」では52.9%でした。 全体的に見て、約半数くらいの方は電子マネーを使用しているようです。

【交通機関発行の電子マネー利用状況 地域別グラフ】

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今回調査した、3用途の中でも、とくに使用率が高かった交通機関について各地域ごとに利用率を見てみました。特に関東地区の使用率は高く、都市圏ではかなり使用されていることが分かります。 電車通勤と車通勤の違いが利用率の差を生みだしているとも考えられます。

経済状況について

ここまで、景況感から実際の家計などの家庭での経済について尋ねてきました。ここでは、自由回答で経済状況についてお尋ねしています。一部になりますがご紹介します。

設問5:現在の経済状況について思うことがあればご自由にご記入ください。

  • 一部の層や企業などを除いては、景気はよくないと思う。(36歳 男性)
  • ぎりぎりの生活で病気したときのことが怖い。(35歳 女性)
  • 会社を経営しているが思わしくなく、資金繰りが大変である。(50歳 女性)
  • 月々の給与は変わらないが、ボーナスが大幅に減っている。悪い。(43歳 女性)
  • 自衛も必要で、いろいろやっているが、それ以上に国や地方自治でも頑張って対応して欲しい。(56歳 男性)
  • 失業率など大切だとは思うが、メディアで良くない事を強調しすぎ。(24歳 女性)
  • 内需の冷え込みがきついので、会社が儲からない。(34歳 男性)
  • 当分は低空飛行だが、将来に悲観はしていない。(59歳 女性)
  • 年金の減額がないように運用してもらえたら。(62歳 女性)

景気の実感・景況感の項でもグラフとしてでていますが、自由回答でも全体的に悪いと感じているコメントを多く頂きました。特に、経営者視点でのコメントや年金関係では厳しい見通しである印象を受けます。また、今回の政権交代に対しても、期待や不安のコメントを数多く頂きました。 全体の傾向は、現状からの景気回復を願っているようです。一方では、そこまで思うほど不況ではなく、過敏になっているだけなのではというご意見もありました。 先の麻生内閣で実施された定額給付金による経済刺激策。実際に何に使われたのでしょうか。一部をご紹介します。
  • 生活費
  • 書籍購入
  • 箪笥購入
  • 旅行費
  • 預金
  • 外食と自宅グルメで消費
  • 子供の教育費
  • カーナビ
  • 地デジテレビ購入資金
  • ペットの医療費
  • メガネの買い替え
  • 電子マネーでポイントが増量されるキャンペーンで使った
  • etc・・・

家庭における経済ということで、報道されている景気情報ではなく、実際の生活の上での景気はどうなのだろうという観点でアンケートを行いました。 全体的に悪いと思っている方が多く、先行きに不安を持っている方がたくさんいらっしゃることが分かりました。また、そのような中での、預金や資産運用などの状況も今回の調査で分かりました。 サブプライムローン問題のように、先には何があるのか分からないのが経済です。まず、現状をしっかり把握し、未来に備えるという姿勢が大切なのではないでしょうか。