近隣地域に関するリサーチ結果 | バルクのマーケティングリサーチ・市場調査

Vol.23 近隣地域に関する調査

住居環境は、生活に切り離すことのできない要素です。昔ほどに近所付き合いが無くなっていると言われる昨今。地域でどの程度コミュニティーが形成され、地域にどのようなものが求められているのか調査を行ってみました。

※本調査レポートの引用・転載ご希望の方はこちらをご参照ください。

調査概要

調査方法 Webアンケート方式
調査対象 10代~60代男女(バルクルーメンバー)
アンケート参加者数 合計1,266人 男性630人(年代別内訳: 10代/101、20代/106、30代/105、40代/106、50代/106、60代/106) 女性636人(年代別内訳: 10代/106、20代/106、30代/106、40代/106、50代/106、60代/106)
調査日時 2009年7月10日(水)~7月15日(月)
調査機関 株式会社バルク

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アンケート結果トピックス

    • あなたは実家もしくは実家と同じ市区町村に住んでいますか。
    • 【はい】54.3%、【いいえ】45.7%
    • 現在暮らしている地域に満足していますか。
    • 【とても満足している】11.7%、【満足している】54.9%、 【どちらともいえない】24.0%、【あまり満足していない】6.9%、 【まったく満足していない】2.5%

実家の地域に今でも暮らしていますか?

生まれ育った地域にどれほどの方が残り、どれほどの方が異なる地域に移るのでしょうか。地元に残っている方の割合について調査してみました。

設問1:あなたは実家もしくは実家と同じ市区町村に暮らしていますか。

【実家と同じ市区町村に住んでいるか 年代別グラフ】

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【実家と同じ市区町村に住んでいるか 地域別グラフ】

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10代では80.2%が元の地域にいます(地元を離れていないようです)が、60代になると36.8%の方しか元の地域には残っていないことが分かりました。30代以降が特に元の地域から離れる方が多くなっているようです。 また、地域別に見てみると中国地区や北海道・東北地区の方は地元の方が多く、関東地区は比較的少なかったです。これは、東京に他の地区から移住してくる方が多いことも影響していると思われます。

近所付き合いについて

近所付き合いが希薄になっているといわれる昨今。どの程度の近所付き合いが実際行われているのでしょうか。また年齢や性別、都心部での違いについて調べてみました。

設問2:隣の住民と近所付き合いはありますか。最も近いと思う選択肢をお選びください。

【近所付き合いの状況 年代別グラフ】

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年齢が高い方の方が近所付き合いの頻度が多く、低い方はあまり近所付き合いがないという結果になりました。特に、20代の方と60代の方はまったく異なっています。ただ、これはよく言われている若い方の無関心のため、とは一概にはいえず、アパートに一人暮らしを始めて、慣れていないから、という要因等も考慮する必要はあると思います。

【近所付き合いの状況 性別グラフ】

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ZOOM UP! つづいて男女別に加え、都心部である東京都に暮らしている方を調べました。男女別でみた場合には、女性の方がやや近所付き合いが多いことが分かります。 また、東京都限定で都会の近所付き合いについて見てみたところ、全体平均より、深い近所付き合い(家の行き来、もののおすそ分けなど)が少ないことが分かりました。しかし一方で、挨拶程度はすることが分かり、「隣の人も知らない状態」というのが、予想ほどは全体と異なっているわけではない、ということも分かりました。

暮らす地域に満足しているか

続いて、暮らしている地域について満足しているかどうかについて尋ねてみました。住めば都とはいいますが、どの程度の方が満足し、どの程度の方が不満を持っているのでしょうか。

設問3:現在暮らしている地域に満足していますか。

【地域満足度 年代別グラフ】

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【地域満足度 住居を移った方と地元に残っている方別グラフ】

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満足している方(「とても満足している」+「満足している」)は、66.6%となっていました。また満足してない方(「まったく満足していない」+「あまり満足していない」)は9.4%でした。半数以上の方が住んでいる地域に満足していることがうかがえる結果となりました。 また、年代別でみると、60代の方は満足している方の割合が高く(74.5%)、40代の方が若干満足していない方の割合が高い(60.9%)結果となっていました。 さらに、住居を移った方と地元に残っている方(※)での比較をしてみたところ、さほど差は見られませんでした。地元で満足しているとか、移った地域で不満に思っているといったようなことはそれほど無いことが分かりました。 ※住居を移った方・・・設問2(「あなたは実家もしくは実家と同じ市区町村に住んでいますか」で『いいえ』と回答した方。  地元に残っている方・・・同じ設問で、『はい』と回答した方)

どんな施設が近くにあると良いか?

5つ限定で、もしこの施設があればと思うものを、選択肢の中から答えてもらいました。公共施設やスーパーなどを比較した場合、どのような施設が家の近くにあると良いと思うのでしょうか。

設問4:生活する近くにこの施設はあってほしいと思うものはありますか。選択肢の中から5つ以内でお答えください。

【近所にあると良いと思う施設 性別グラフ】

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男性では「コンビニエンスストア」(50.8%)、女性では「スーパーマーケット」(53.5%)が最も望まれていることが分かりました。次いで「駅」、「本屋」、「銀行」、「郵便局」、「病院」などが挙げられました。「外食店(ファミリーレストラン等)」や「区・市役所や町村役場」などはそれらに比べると優先度が低いことが分かります。男性に多い会社員や女性に多い主婦などの生活習慣、生活環境も一因になっていると思われます。

近隣地域というテーマについて

近隣地域というテーマについて様々なご意見をいただきました。地域についてどのような事を思い、またどのような要望があるのでしょうか。一部になりますがご紹介します。

設問5:あなたの暮らしている地域について思うところがあればお書きください。

  • ベッドタウンとしては、もう少し交通の便が良くなってほしい。(61歳 女性)
  • 駅と商店街に近く生活に便利だが、子供会など親子で参加しやすいコミュニティがないのが残念。(37歳 女性)
  • 人間関係がぎくしゃくしている気がする。(18歳 男性)
  • 駅前の再開発が進まない。(47歳 女性)
  • 一通りあるにはあるが、商店街になっていないから何か寂しい。点在していて競合していない。(58歳 女性)
  • 市街からはずれているので、交通が不便だが、自然が豊かで、そういった面では贅沢している。(46歳 男性)
  • 長寿の町を売り物にしているのに、その割には高齢者にやさしくない。(69歳 女性)
  • 市が大型ショッピングセンターを誘致して、商店街をつぶしてる。(60歳 女性)
  • 急にマンションが増えて、人口が増えたことに対し、駅などの設備が追いついていない。(37歳 女性)
  • 便利は良いと思うが、個人商店が多いので閉店するのが早い。(45歳 男性)
  • 周りには何もなく、老後が不安かな?(35歳 男性)

特に良く見られたのは、車が無いと厳しいといった地域のご意見や、開発された地域での新旧住民の意識の違いでした。一方、ある程度は満足しているといったご意見もいただきました。特に移動するための交通インフラは高齢者については死活問題にもなってくるので、高齢化社会を迎えるうえでの大きなポイントになってくると思われます。 都会では、地域での近所付き合いが少ないという仮説が調査前にはあったのですが、意外にもそこまで差は無いことが分かりました。しかし一方年齢での付き合いの違いはとても大きく、ご年配の方ほど近所付き合いをよくしており、近隣ネットワークが形成されていることが分かりました。 近隣トラブルといった問題も少なからずありますが、気持ちの良い近所付き合いというのは、生活上や防犯上でも良いことなのではないのでしょうか。今一度より良い地域の形成を考えてみるのもいかがでしょう。